１．適応となる胸痛の主な症状
（１）特発性肋間神経痛
肋間神経の経路に沿った痛みで、多くは左側の第５〜９肋間に突然
発症し、深呼吸やせきで増強する。また圧痛点が存在する（脊柱点
側胸点・胸骨点）。
（２）帯状疱疹後神経痛
肋間神経の経路に沿った水疱と疼痛。１週間で痂皮形成。２〜３
週間で痂皮が落ちるが神経痛が残ることが多い。
２．注意を要するもの
（ア）突発性の胸痛と左上肢への放散痛（狭心症 心筋梗塞）
（イ）胸痛に発熱を伴うもの（胸膜炎 心膜炎）
（ウ）激烈な前胸部痛で高血圧症患者にみられるもの（解離性
大動脈瘤）
（エ）突発性の胸痛で呼吸困難を伴うもの（自然気胸）
（オ）外傷後の限局性の疼痛と圧痛（肋骨骨折）
３．東洋医学の考え方
東洋医学では心痛または脇痛にあたる。
（１）真心痛・・・痛み甚しく、手足冷えるは短時間で死亡する。
（２）厥心痛・・・血・痰飲・寒邪等が心包絡を侵すもの。
（３）脇痛・・・肝・胆の病による胸脇の痛み。
４．治療法
（１）あ・マ・指施術
施術目的・・・鎮痛
施術法
（ア）肋間に沿う軽擦・揉捏
（イ）圧痛点の軽い持続圧迫
（ウ）頚肩背部への誘導施術
（エ）肋間神経伸展法
（オ）温熱療法の併用
（２）鍼灸治療
治療目的・・・鎮痛
治療法
（ア）西洋医学的には圧痛点に刺鍼する。水疱や痂皮がある場合は
それを取りかこむように横刺する。
（イ）東洋医学的には背部兪穴（夾脊穴）や、肝経・胆経中心に
刺鍼する。また原因により適宜取穴する。
※ヘルペスの場合は抗ウイルス剤との併用が望ましい。